富山大 特別選抜で全盲の守井さん博士課程進学
2011.04.08 毎日新聞 地方版
富山大の入学式が7日、富山市湊入船町の市総合体育館で開かれ、
学部や大学院などの新入生計2405人が新しい学生生活のスタートを切った。
全盲の守井清吾(しんご)さん(27)=高岡市=は大学院の生命融合科学教育部(博士課程)に進学。
同部に全盲者が進むのは2人目で、
守井さんは「目が見えないからこそできる研究をしたい」と決意を新たにしている。
同大は「障害のある人にも研究の場を提供し、研究に独自の視点や発想を生かそう」と、
09年から身体障害者の特別選抜を同部で開始。
同年に社会人1人が合格した。
守井さんは先天性の弱視で、幼稚園の頃に左目を失明。
かすかに見えた右目もここ数年で見えなくなり、
現在は光を感じる程度で文字は全く読めないという。
県立盲学校(現富山視覚総合支援学校)の小学時代の担任教師にあこがれ、
同じ道に進みたいと大学進学を目指すようになった。
教員免許を取るため富山大教育学部(現人間発達科学部)進学を希望したが、3年連続で受験に失敗。
予備校に通って勉強を続け、4回目の挑戦で合格した。
大学では数学を専攻。
母校での教育実習で突っ込んだ質問に答えられず「さらに数学の根本を学ばなければ」と修士課程に進学。
これまでに中学・高校の数学や養護学校の教員免許を取得した。
守井さんをさらなる研究の道にかき立てたのは、教育実習で出会ったある盲学校の生徒。
高校1年で失明したため点字を読めず、
大学進学を希望したものの勉強の方法が分からずにつまずき、進学を断念した。
意欲があるのに勉強できないという現実を目の当たりにし
「障害者の勉強を支援できる環境づくりをしたい」と、
工学系に進んで支援ツールを開発したいと考えるようになった。
現在は本をスキャナーで読み取り、音声に変換する専用ソフトがあるため、
国語や英語の勉強は比較的簡単に取り組むことができる。
しかし理系の勉強に不可欠な数式や図、グラフなどは変換が難しいため、
守井さんは視覚障害者でも高度な理系の勉強ができるシステムの開発を目指している。
守井さんは「見えない自分だからこそできる研究があると信じて3年間頑張りたい」と話している。
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